Q 離婚後,元夫が養育費を払ってくれません。どうすればいいでしょうか?
A 通常は,相手の住所地の家裁に調停を申し立てます。調停=話し合いではなく,法的にビシッと決める審判という手続であれば,対象の子供がいわき居住であれば,いわきの家裁に申立てが可能です。
よって,「子供が手元にいるが元夫は遠隔地・・・」という場合は,子供の住所地でいきなり審判申立てを勧めます。
【請求金額】
養育費額は,お互いの収入によって決まります。例えば,請求する側の年収が100万円,される側が300万円,15歳以下の子供が一人なら養育費2-3万円,子供2人なら合計3-4万円くらいになります。厳密には少し難しい計算式が必要なので,ここには記載しません。
【請求の始期と終期】
基本は請求した時からもらえるのが実務の多数ですので,請求したことを手紙やメールなどの証拠で残しておくのが賢いです。
子供が成人するまでもらえますが,18歳で就職したらそこからはもらえません。
【特殊事情など】
◆義務者が再婚したりその子供が生まれたりすると,金額がダウンします。
◆権利者が再婚して再婚相手が子供と養子縁組すると,(一次的な)扶養義務がなくなるため,養育費を請求することができなくなります。
◆養育費を払わない合意は夫婦間では有効ですが親子間では効力がないため,後々子供から請求されるおそれがあります。
◆養育費を一括払いすることは相手が同意すれば可能ですが,その後の事情変更により追加の請求が認められる余地があります。
◆私立中高や大学への進学費用が加算されるかどうかは,双方の学歴や承諾の有無などを総合して決められ,必ず請求できるものではありません。
◆相手が無職で稼働能力がある(病気や乳幼児をかかえていて働けない場合などは除く)場合は,統計上の平均収入額があるとして処理されることがあります。ただし乳幼児がいて働けない場合などを除きます。
◆計算の基礎となる給与に通勤手当など実費が含まれている場合は,それらを控除して計算することが多いです。
【ポイント】
請求できるようになったら手紙かメールで請求!!コピーもとっとく!!
【税務】
養育費を払うと,対象の子供は「生計が同一」の要件に該当するので,お子さんの年齢によっては扶養控除を使えることがあります(平成28年時点で38万円または63万円)。税法はかなり頻繁に変わりますので注意しつつ,控除が使える場合は使いましょう。具体的には,確定申告で扶養控除を計上するか,年末調整時に書かされる「扶養控除等申告書」に記入します。
養育費請求の調停または審判を依頼される場合,具体的な事情によりますが,着手金報酬金双方20万前後が多いのではないかと思われます。