契約書や念書作成のコツ

Q お金の貸し借りで揉めて,相手との間に念書を作ることになりました。この念書は有効でしょうか?

 

A 有効な念書を作るにはコツがあります。お金の貸し借りであれば「消費貸借契約書 書式」,賃貸借なら「賃貸借契約書 書式」などで検索すれば,それなりのモノが出てくる場合もありますが,当然,個別の事情に対応していないため,過信は禁物です。今も,いわきのどこかで紛争が起こり,誰かが無効な念書を作っていることでしょう。

 無効な念書で泣かないために,よくある注意点を4つ,並べておきます。

 

①当事者の特定

いずれかの当事者が法人の場合は,法人なのか,代表者個人が当事者なのか,混同している場合があります。表記を気をつけましょう。また,例えば貸主が複数いる場合,誰にいくら返すのかといった割合が不明確になりますので,連名は避けましょう。

 

②内容の特定

お金関連であれば,誰が,いつまでに,いくら,どこの口座に振り込んで払うのか,明記しなければ,念書を作る意味がありません。また,何に関するお金なのか(貸金なのか賠償金なのか)も明記しましょう。モノであれば,その物体の製品番号とか,不動産なら所在番地面積など,対象物を可能な限り特定しましょう。

 

③履行の確保

お金を取る側の立場であれば,保証人や遅延損害金,違約金の条項を必ず設けましょう。逆に払う側であれば,これらの条項はいらないと主張すべきです。

 

④清算

お金を払う側であれば,「念書に書いてある以上の債務は存在しない」ことを必ず盛り込みましょう。清算条項といいますが,これがない場合,追加で請求される余地がでてきてしまいます。逆に,お金を取る側であれば,清算条項を入れるとそれ以上取立の余地がなくなることを覚悟しましょう。

 

 

 契約書や念書の作成は,素人判断禁物です。作って署名捺印してからでは遅いので,事前に弁護士に相談されることをお勧めします。