Q いわきの裁判官はどんな方ですか?
A いわきの地裁の民事事件は,40歳前後の男性1名の裁判官担当であることがほとんどです。家事事件と刑事事件は,所長といって50代くらいの年配の裁判官が審理を担当することもあります。いずれにせよ,若くて綺麗な女性裁判官は期待しない方が無難!
どうせ3年で異動しますし,「ある事件でこういう判決を出したから同種事件でどうこう」という法則はありませんが,赴任の際にどうせ分析しますし,少しは具体的なイメージが湧くかもしれないので,下に,平成28年現在のいわきの裁判官のお名前と過去の判決をいくつか記します。
H16から裁判官,H28から,いわきに赴任。
刑事系に長くいらしたせいか,お名前で検索しても刑事事件の判決しか出てこない。
◆H22.3.16 岐阜地方裁判所
覚せい剤を4月15日に営利目的で譲渡したとの公訴について,無罪を言い渡した。
理由は,4月16日にも覚せい剤の譲渡が行なわれており,問題の覚せい剤は16日のものではないかという疑いがある,というもの。買った人間の供述が変遷していることから,同人の証言を排斥。
H14から裁判官,H28から,いわきに赴任。
判決をみると,敗訴側の主張に几帳面に逐一応答する傾向があるような気がします。
判例タイムズ1191号「みなし弁済を巡る裁判例と問題点」執筆
別冊判例タイムズ29号の最高裁H21.4.28の解説執筆
◆H15.12.16 東京地方裁判所
義父に家を追い出されたとして損害賠償請求等した訴訟。
退去時点で離縁調停の申立てが既にあり,関係悪化を原告も自認していたことから,義父との間の信頼関係破壊による使用収益期間の満了を認め,義父の退去要求は不法行為に該当しないと判断。
◆H16.12.10 東京地方裁判所
妻が,交通事故の賠償金が入った夫の通帳を持ち出して引き出したので,夫が返還を求めた訴訟。
「事実上管理を委ねていただけでは通帳管理の委任契約は成立しない」として委任契約に基づく返還請求を棄却したが,不法行為という別の法律構成での返還請求を認容。
◆H17.6.28 東京地方裁判所
不動産投資の説明義務違反に基づき不動産会社に損害賠償請求した訴訟。
不動産投資は元本保証がないのが当然であること,原告が医師や実業家などで知的能力が高いこと,パンフレットなどに投資の仕組みが記載されていたことから,説明義務違反を認めなかった。
H10より裁判官,H27より,いわきに赴任。
行政事件を担当する部署にいたらしく,お名前で検索すると行政訴訟(税金とか住民訴訟とか)が多くヒットします。
青林書院・新裁判実務体系(16)の「労働契約の期間」を執筆担当
◆H18.10.27 東京地方裁判所
温泉旅館が入湯料+入湯税分150円を客から徴収していたところ,その150円分に対する消費税も払えと税務署が請求した事案。
外見上,入湯料と入湯税分が明確に区分されていないが,広報誌や経営状態報告において区分表記されていたことなどから,当事者の意思としては取引価額と税金分を区別していたものと認め,税務署の課税主張を排斥。
◆H19.3.20 東京地方裁判所
原告が,ストックオプションの権利行使益を一時所得として申告したのに対し,税務署が給与所得だと主張し過少申告加算税を賦課した事案。
最高裁の判断はなかったが通達が周知公表されていたことなどから,過少申告について正当な理由があったとは認めず,過少申告税加算を認めた。
H14から裁判官,H27より,いわきに赴任。
知財担当の部署にいたらしく,お名前で検索すると特許訴訟が多くヒットします。
◆H24.7.19 東京地方裁判所(国側代理人として関与)
東電に賠償責任があることを前提に国が様々な措置をしていることに憤った東電株主が,国に対して,東電は原賠法3条1項但し書きに該当し免責されるので,国の措置によって東電の株価下落した,と賠償請求した事案。
国側の法解釈に相当の根拠があり,国賠法上違法でないとして,請求棄却。